基礎的なネットワーク系のIT用語を調べると「プロトコルの一種」と記載されていることがありますが、「プロトコル」とはいったい何なのでしょうか。
今回は「プロトコル」の概念について噛み砕いて解説していきます。
「プロトコル」はITの基礎を理解するために重要な用語となるため、まだ分からない方はぜひ最後までご覧ください。
こんな人におすすめ!
・名前は知っているけど意味はわからない
・プロトコルの仕組みを理解したい
・プロトコルにはどんな種類があるの?
プロトコルとは?
プロトコルの概要
日本語表記 | プロトコル |
英語表記 | Protocol |
プロトコル(Protocol)とは…
コンピュータでデータをやりとりするために定められた手順や規約、信号の電気的規則、通信における送受信の手順などを定めた規格のこと。
ネットワーク系では「プロトコル」は主に通信プロトコルのことを指して用いる。
上記の説明で理解できない方向けにさらに噛み砕いていきましょう。
通信プロトコルは異なるメーカーのソフトウェアやハードウェアが正しい通信を可能にするための通信方法のマニュアルです。
もっと分かりやすくすると、片方が日本語、片方が英語で作られたものだと、双方向の通信(コミュニケーション)に支障が出るため英語で統一しよう!というような通信規約です。
これらの共通の通信規格に従って制作することにより、どのメーカーが作ったものでも双方向の通信を可能とします。そのため用途・目的別にさまざまなプロトコルがあるというわけです。
身近なものとして例を挙げると下記のようなものがプロトコルの代表です。
- TCP/IP:インターネット接続に用いる通信プロトコル
- HTTP:Web閲覧などに用いる通信プロトコル
- POP/SMTP:メール送受信に用いる通信プロトコル
これらのいずれも末尾が「P」で終わっていますが、プロトコル(Protocol)の「P」です。
代表的なプロトコル
データ通信に様々な用途や方法が存在するため、それに合わせられるようプロトコルは無数に存在します。
日常で用いるメジャーなものだと、HTTP や POP 、SMTP 、FTP がありますが、それらを暗号化するTLS を含む HTTPS 、SFTP などもプロトコルに該当します。
今回はプロトコルの一部をどのような通信に用いられているものなのか具体例を挙げてご紹介します。
HTTP (Hyper Text Transfer Protocol)
Webブラウザがサーバーと通信するときに使われるプロトコル
htmlなどによって記述されたファイルを送受信するために使用される
HTTPS (Hyper Text Transfer Protocol Secure)
HTTPによる通信をよりsecure(安全に)行うためのプロトコル
FTP (File Transfer Protocol)
ネットワーク上のクライアントとサーバーの間でファイル転送を行うためのプロトコル
SMTP (Simple Mail Transfer Protocol)
インターネットでメールを送信するためのプロトコル
メールソフトからメールサーバーへ電子メールを送信するときに使用される
POP3 (Post Office Protocol version3)
インターネットでメールを受信するためのプロトコル
メーラーでメールサーバーから電子メールを受信するときに使用される
IMAP (Internet Message Access Protocol)
インターネットでメールを受信して管理するためのプロトコル
NTP (Network Time Protocol)
ネットワーク上にある全ての機器の時刻を同期させるためのプロトコル
DNS (Domain Name System)
ドメインとIPアドレスの管理のためのプロトコル
ドメイン名とIPアドレスの対応を管理するために使用される
TCP (Transmission Control Protocol)
正確性や信頼性の高いデータの送信に用いられるプロトコル
データの順序や内容を保証し、確実なデータ転送が可能
UDP (User Datagram Protocol)
正確性よりもより速さを重視したデータの送信に用いられるプロトコル
動画や音楽のストリーミング、オンラインゲームなどで使用される
IP (Internet Protocol)
ネットワーク上で各機器にIPアドレス(住所)を割り当て、それをもとに対象にデータを送り届けるためのプロトコル
DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol)
ネットワーク上の各区機器にIPアドレスを割り当てるプロトコル
ICMP (Internet Control Message Protocol)
誤りの通知や通信状態について通知をすることで通信が可能な状態か確認するためのプロトコル
プロトコルの階層構造
プロトコルはネットワークアーキテクチャーと呼ばれる階層構造の体系化で表されることが多いです。
なかでも今回は代表的な2つのネットワークアーキテクチャーをご紹介します。
OSI基本参照モデル
OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルとは…
コンピューターが通信するために利用するネットワークの機能を7つの階層(Layer:レイヤー)に分類して、整理したモデルのこと。階層ごとに通信プロトコルが定義されている。
階層 | 内容 |
---|---|
第1層:物理層 | ケーブルやコネクターなど物理的な接続の規定 |
第2層:データリンク層 | 直接的に接続された機器同士のデータ伝送制御手順を規定 |
第3層:ネットワーク層 | ネットワークにおける通信経路の選択や中継の制御手順を規定 |
第4層:トランスポート層 | 通信の品質による制御手段を規定 |
第5層:セッション層 | 通信プログラムの開始から終了までの一連のセッション(手順)を規定 |
第6層:プレゼンテーション層 | データの表現形式を規定 |
第7層:アプリケーション層 | アプリケーションが提供する具体的な機能についての仕様や通信手順を規定 |
TCP/IP階層別の名称と利用例
TCP/IP は世界中で最も使われている通信規格です。
TCP/IP のネットワークアーキテクチャーは機能を4階層に分割し、OSI基本参照モデルよりも単純な階層構造として表している特徴を持ちます。
※こちらが事実上の標準規格となっており、インターネットで利用される機器やソフトウェアは全てTCP/IP に準拠しています。
階層 | 名称 | 主な規格(プロトコル) | 利用例 |
---|---|---|---|
第1層 | ネットワークインターフェイス層 | Ethernet | LAN |
第2層 | インターネット層 | IP,ARP,RARP,ICMP | ルーティング、エンドツーエンド通信 |
第3層 | トランスポート層 | TCP,UDP,NetWare/IP | TCP/UDP |
第4層 | アプリケーション層 | HTTP,HTTPS,SMTP,POP3,IMAP4,DHCP,DNS | Webサイト閲覧、メール、ファイル転送など |
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
プロトコルを理解するために下記2点を押さえておきましょう。
- プロトコルとは通信方法を規制するマニュアルのようなもの
- プロトコルとは主に通信プロトコルを指して使われる
実はパソコンでWebサイトを閲覧する行為にも複数のプロトコルを用いて通信を行っています。
手順1:「第1層:ETHERNETプロトコルで、LANケーブルでルーターと接続」
手順2:「第2層:IPで、相手先のHPサーバーを特定」
手順3:「第3層:TCPで、データ通信のやり方を決める」
手順4:「第4層:HTTPで、画面上にHPの情報を表示させる」
一見複雑に見えるかもしれませんが、プロトコルは、社内ネットワークの構築や、メール設定、ルーター設定、HP作る、ファイルをサーバーにアップロードするなど、パソコンを操作する時に必ず用いている通信規約になります。
覚えておくと、ネットワークに関する理解度が上がるため、ぜひ頭に入れておきましょう。